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書籍「ザ・ドリーム・マネジャー」のドリームマネジメント公式サイト夢対談夢対談 味の素㈱常務執行役員本橋弘治氏「従業員の夢の実現以上に優先順位の高いものはない!」

ドリームマネジメント夢対談vol.1 
味の素㈱常務執行役員本橋弘治氏



本橋弘治氏プロフィール

味の素㈱食品事業本部アセアン本部長兼食品事業 本部アセアン本部バンコク事務所長 。味の素アセアン地域統括社代表取締役 社長兼タイ味の素社代表取締役社長。 1986年味の素(株)入社。その後、2005年よりフィリピン味の素 販売マーケティング取締役、2009年より人事部労務グループ長、2012年よりベトナム味の素社長を歴任。2019年6月より現職


 

 
“人生にはゴングが鳴らない、諦めない人が人生の勝者になれる”

―佐々木
本日は宜しくお願い致します。
本橋さんとドリームマネジメントについて、お話し出来ることをとても楽しみにしていました。まずは、本橋さんの今までのご経歴も含め、現在に至るまでの経緯を教えていただけますか?

―本橋さん
こちらこそ宜しくお願い致します。
大学卒業後すぐ味の素に入りまして、最初は三重県の工場で三年間労務や総務の仕事をしていました。そのあと人事部に配属になり、20代は人事部で労務や福利厚生とか採用などの仕事をして、30代は岡山県と広島県でレストラン系の営業をしました。
外食業界なのでレストラン、ホテル、スーパーなどがお客さんです。37歳で課長になって、二度目の人事部に配属となって、そこでも従業員の健康管理だとか制度作りなどをして、40代になって海外食品事業に関わり、2005年から2009年まで4年間フィリピンに行きました。フィリピン在中のときに、営業の人心掌握や、不採算の工場を閉めたり、などを経験しました。

その後2012年から2017年まで5年間ベトナムに行き、最初の挨拶で、「スポーツと違って、人生にはゴングが鳴らないから、諦めない人が人生の勝者になれるし、みんなで人生の勝者になって会社を成功に導きたい」という話をしました。そういう考え方はベトナムの人達の心に響いたみたいで、そのときの挨拶の言葉を彼らはずっと覚えていてくれていました。
みんなで会社のビジョンを作ったり、各部や各課にビジョンをもうけるということを導入して、「みんなで会社のビジョン作ろう」と言うと、はじめは「そんなの社長の仕事だから社長が作くればいい、私たちは忙しいから仕事をやらせてくれ、会議室に集めないでくれ」と言われたりしました。


“お互いの夢、プライベートに関心を持つことが大事。そうでなければ会社は潤いがなくなる”

―本橋さん
「デスクに向かったり、現場で物を売ったり作ったりしている時間も大事だけど、この時間も大事な仕事だ」ということを伝え、みんなで会社をつくっていくんだということを言い続けました。学校でいうと、ホームルームのような時間です。ホームルームがないと、国語算数理科社会だけを学んでも、クラスとして成り立たない、という感覚です。ドリームマネージメントを月に1回行って、常日頃からお互いの夢、プライベートに関心をもつというのは、仕事そのものではないけど、そういう時間がないと、会社は潤いがなくなっていくような気がして。そんなことを彼らに伝えました。

―佐々木
今回、本橋さんご自身がドリームマネジメントのファシリーターとなって、社員の夢を応援するということを実践されるのですが、常日頃社員の夢を実現したい、応援したいということを考えていらっしゃったのでしょうか?そのような考え方になったきっかけなどがあれば教えて頂きたいです。

 

 “会社が幸せになるのだったら、従業員も幸せにならなければいけない”

―本橋さん
最初に海外で働いたのが2005年からフィリピンだったのですが、フィリピンの人達は、日本人以上に自分の人生とか家族とか大事にしていて、会社至上主義みたいなものを前提に彼らをマネージメントしたらいけないと思いました。
会社には目標やビジョンがあって、販売部門は販売ノルマの達成に向けて頑張るわけだし、生産部門も言われたコストで言われた量を作るわけです。従業員たちはその仕事を毎日一生懸命やっていて、その結果、会社が利益をあげて発展していく。
でも、働いている人たちの暮らしは変わらない、ではいけないと思います。会社が幸せになるのだったら、従業員も幸せにならなければいけない、そういうことを彼らと話しているとものすごく共感を得られるというか、「そうなんですか、日本人もそんなこと考えるんですか」みたいなことを言われて。人生の成功者だけが会社を成功に導ける、という話を彼らといつもしていて、その頃からでしょうか、社員の夢、人生を応援したいと思い始めたのは。

―佐々木
ドリームマネージメントも、会社の目標達成をして欲しいのだったら、社員の人生の夢をまず応援しなさい、という考え方があります。その考えを本橋さんは実践されていたのですね。本橋さんご自身は、若い頃から夢を持ち実現を目指した方だったのですか?

 

 

“47歳までに味の素の関連会社の社長になりたい“

―本橋さん
会社にいると、朝起きて行けば仕事が待っていますから、その中で夢を追い続けることってなかなか難しいですよね。そんな中、漠然と思ったのは、47、48歳くらいまでに(味の素社の)関連会社の社長をやってみたいと思いはじめ、ベトナムの社長になったのが46歳10ヶ月だったのでギリギリ夢が叶いました(笑)

実は、2004年に会社辞めようと思い辞表を出したこともあります。人事コンサルタントの会社をつくろうとして、出資者の方もいて、その会社の取締役会でも決まっていました。2000万円ずつ出資して、50:50の会社をつくりましょうという話しがすすんでいました。その会社は営業パフォーマンス管理ソフトの大手でしたが、システムで営業のパフォーマンスを管理するだけではなくて、血の通った人事制度をつくりたいと思って。

当時僕も自ら給与制度を作ったりしましたが、各企業が従業員の労働条件を切り下げる方向に動いていた時代で、それがトレンドになっていました。会う社長さん達はみんなそんなことを言うんですよね。そんな状況をなんとかしたいと思って、会社をつくるはずだったのですが、どうしても上司が僕の退職願いを受け取ってくれなくて、1ヶ月くらいずっと出しては戻されてを繰り返して、そうこうしているうちにフィリピンへの辞令が出て、フィリピンに行くことになりました。

―佐々木
もしそこで上司の方がねばっていなければ、今の本橋さんは存在しないということですね。

―本橋さん
出資してくれるパートナー企業の役員の方達も、「君は将来、味の素で出世するから辞めないほうがいいんじゃない?」ということを言われました(笑)

―佐々木
そのあとフィリピン、ベトナムに赴任されて、その頃には社員の夢を応援するとか、社員の人生を豊かにしたいとか、そのような考えはあったということですよね。

 

 

“たった一人のことも救えないのだったら、4000人のことは救えない”

―本橋さん
元々人事部で制度づくりなどをしていたので、制度をつくるときも他人ごとではなく、自分のこととして仕事する、というような気持ちで仕事をしていました。味の素(単体で)現在4000人くらいの従業員がいるんですけど、制度として、これはルールなのでダメです、みたいなこともつくらなければいけません。でも、先輩方から、たった一人のことも救えないんだったら、4000人のことは救えないよね、と言われて。だから一人一人の状況を聞いて、最大限なにができるか考える。

いいときだけじゃないじゃないですか?人間て。例えば、病気で出勤できない、みたいなときにも、どこまでその状況を理解してあげるか。最後まで復帰できない人ももちろんいるんだけど、そこにどう向き合うか、ということが大事です。夢を描く、みたいなポジティブなことだけではなくて、自分の実力が発揮できないネガティブなときもあったっり、病気だったり、心の病だったり、プライベートで問題を抱えていたりとか、そのようなときに誰かが理解していてあげる、話を聞いていてあげられる、とか、そういうことがすごく大事だと思います。

フィリピンやベトナムでもそうですが、従業員が不正をして会社のお金をだまし取ったりするときもあります。そういう時は、だいたいが家族が病気でお金がいるとかいう事情があったりします。日本だとあまりそういうことはないですが、社会保障がちゃんとしてないと、親が病気で入院したりすると、ものすごく治療費がかかります。そんなときに、会社のお金に手をつけてしまったりして。だからと言って何かできるというわけではないんだけど、誰かが聞いていてあげて、「大変だね」「大丈夫か」と声をかけてあげているのと、誰も何も知らずに、仕事だけの付き合いとでは全然違うんですよね。

 

 

“離れ業を、楽々とやってのける集団が理想の組織”

―佐々木
確かにそうですよね。ポジティブなこともネガティブなことも、誰か聞いてくれて、受け入れてくれる環境があるのとないのとでは全然違いますよね。
そもそも、一緒に働いている人達がお互いに関心がなかったとしたら、良い仕事なんて出来ないと思います。チームワークが高い組織、会社は本当に強いですからね。本橋さんが考える、理想の組織とはどんな組織ですか?

―本橋さん
一言でいうと「離れ業を、楽々やってのける集団」です。
超プロフェッショナルな世界って、メジャーリーグでもいいし、サッカーのヨーロッパリーグでもいいんですけど、そんなすごい技出ちゃうんだ、みたいなことを平気でします。これを考えると、いつもサーカスを思い出しますが、超一流のサーカスって、全員が超一流の技を持っていて、それができると楽々普通にやっているように見えますよね。でも相当みんなでトレーニングをして、実力を磨いている。汗かきながら苦しそうにやるのではなく、すごいことを平然と行うチームが、僕の中での理想の組織です。

 

 

その気になればある程度は出来たりする”

―佐々木
ドリームマネジメントの考えの中で、ドリームマネージャーは特別な人じゃなくていい、例えば、先生だとか、会社の上司だとか、スポーツの監督、コーチとか、自分の夢を応援してくれる人はまわりにいっぱいいるでしょう、そういう人がドリームマネージャーだ、とありますが、本橋さんにとってドリームマネージャー的な人といえば、どんな方が思い浮かびますか?

―本橋さん
難しいな~
会社の何人かの先輩や元上司ですかね。
夢を聞いてもらった覚えはないですが(笑)

―佐々木
こんな話を聞いてくれるとか、夢を語ったときにそれっていいね!できるよ!とか、そんなことを言ってくれる人がいるだけで、すごく安心できたり、頑張れたりすると思います。ドリームマネージメントは夢を実現するということが目的ではありますが、それを語って組織がよくなっていく効果もあります。
夢を語って受けてくれる人がいる、その夢を応援してくれる人がいる、いいね!と言ってくれる人がいる、このような関係がつくらていくのがすごくいいなと思っています。そんな組織が理想だと思うんです。

―本橋さん
自分のことを理解してくれている存在が、会社の上司であったり、先輩にいると、すごくありがたいですね。多分、人間だから、行動や判断が正しくないときって絶対あると思うんです。でも、それがもっちゃん(本橋さん)らしいね、と分かってもらった上で、いきすぎだったらそれは違うとか、やりすぎとか言われるんだけど、そんなに間違ってなければ、僕の暴走を許してもらえることもある。そういう安心感がある関係性の人達がいるとすごくありがたい。
逆に自分の限界に線を引くこともあるんですよね。これはできないな、これは不得意だな、と。そういうときに、もっちゃんならできるよ、と言ってもらえることがありがたいですね。僕は当初、海外で働く気もなくて、英語はしゃべれないし、外国人のマネージメントなんてできないって、はなから諦めていたんだけど、「行ってみなよ、出来るから」って言ってもらえると、「できるかも」と思えてきて。自分で勝手に作っていた限界を乗り越えていく感覚っていうのはいいなと。
「今更」って思うときがあるんですよ。40歳すぎて「今更」こんなのやりたくない、「今更」これできないだろうとか。50歳すぎて「今更」こんなこと勉強しなきゃいけないの、とか。だけど、その気になればある程度は出来たりすることが多い。100点は取れないけど、70~75点にはなれるんだ、と。それは先輩たちのサジェスションかもしれません。



”夢の実現を通じて主体的に自分と向き合うことが出来る。それがドリームマネジメントの良さ”

―佐々木
本橋さんは、ドリームマネージメントのファシリテーターとして1~12のセッションを学んでいただいて、これから社内で実践していくと思うんですけど、本橋さんの中でドリームマネージメントの良さは何だと思いますか?

―本橋さん
人のせいにしなくなるっていうのかな。夢を通じて主体的に自分と向き合うことが出来るし、良くも悪くも、それは自分が積み上げてきたことの結果だし。だから悪くてもそんな悲観することはなくて、悪いというよりはまだ実現できていないだけなんだと。自分自身でもドリームマネジメントを実践してると、特にお金管理のところとかは甘いなとか、自分の欠点も分かってきたけど、すぐには直らなくて、相変わらずダメだなって思うこともあるけど、先は長いですから、今できてないからってくよくよする必要はないし、と思ったりしますね。

自分のドリームリストの中でも、「人間関係」「精神」とか、「人生の目的」「後世に残すもの」「伝説」(※ドリームリストを出す際のカテゴリー)だと、どうしてもスマートのSのスペシフィック(具体的)ではなくて、いつ実現できたか、計測できないような夢も書いてあるんですけど、そんな夢も大事なのかなって思ったりして。
「明日ここに行きたい」とか、「これを買いたい」という夢はイエスかノーかはっきりするんだけど、いつ実現できるかもわからないような、毎日努力しなきゃいけないようなこと、そんな夢を12セッションを通じて自分で書いてみて、それを追いかけていくことが大事ですし、そんなことを日々意識させてくれるのがドリームマネジメントの良さだと思います。

 

 

“自分の夢を叶えるパワーが会社の夢を叶える原動力になる”という話しをしたい”

―佐々木
フィリピン、インドネシア、タイの支社で、ドリームマネジメントを広めたいとおっしゃっていましたが、その理由を聞かせて頂けませんか?

―本橋さん
今度、7月(2019年7月)からタイに行きます。実際にタイに行ってみないと、タイの人たちのメンタリティがわからないんですけど、「タイの中で最も信頼される食品会社になる」というビジョンを掲げたいと思っています。それを実現させる為には、みんなが会社の夢の実現のため努力するのもいいんですが、その前に自分の夢とか自分の家族の幸せを叶えたいと思っているはずだし、自分の夢を叶えるパワーが会社の夢を叶える原動力になるんだということを言いたいと思っています。

自分の夢の実現は会社外でやることで、会社に来たら自分の夢なんて語っちゃいけないんだ、と思っている日本人は多いと思いますが、日本人よりタイ人のほうがきっとニュートラルだし、もっと素直でストレートだと思います。みんながどんな夢を持っているのか、お互いに言い合えるような感じのマネージメントをしてみたいと思っていて、まだやり方とかスケジュール等はこれから考えないといけないけど、自分の中では、タイでドリームマネジメントを浸透させるには2年くらいかかるかなと思っています。全員が「ザ・ドリーム・マネジャー」の本を読むだけでいいとかもしれないけど、従業員全員に何かしらのかたちでドリームマネジメントに関わっていくのは、やはり2年くらいかかると思っています。その次はタイだけではなくて、アジア全体にドリームマネジメントを行っていきたいと思っています。

ドリームマネジメントを受けると、誰かに話すと思うんですよ。僕はこんな夢を持っていて、こんなことをしているんだ、と。
僕自身も毎日自分のドリームリストを朝起きたら見るのを日課にしていて、人生のスコアカード(※身体、人間関係、知性、精神の状態をチェック)を毎日見ながら自分の習慣を確認する、ということを行っていますが、従業員たちも自分の夢の実現に向けてこんなことをやっているんだよ、ということをいろんな人に語ることじゃないかな、と思っています。

その中で、それおもしろいですね!という共感する人が出てくるのかな、と思っています。先日、うちの長女にもドリームマネジメントの話をしたら、翌日に105個の夢を書いてきました(笑)。長女はちょうど就職活動をして、就職先が決まったところだったので、夢が沢山書けたし、この先さらに山ほど夢が出てくるんだろうなと。長女の100個の夢は見てないけど、恐らく学生のうちにやりたいこと、就職したらやりたいことが書いてあると思います。ドリームマネジメントのセッションを長女に行ったわけではないんですけど、一緒にご飯を食べながら1時間くらいこの話をしただけで、100個以上の夢を書いていました。
本人はなんとなく自分なりに考えているんですよね。そういうことができる人が会社の中に増えていったらいいなと思っています。

 

“一人ひとりが自分で変われる強さを身につけないと日本の企業は弱くなる ”

―佐々木
今後、海外でドリームマネージメントをするということですけど、日本の企業ではどうでしょうか?僕は日本の企業内でも、夢を語る文化をつくれたら素晴らしい会社になるだろうし、そんな文化が必要だとも思っています。言いづらいかもしれませんが、本橋さんの中で、日本の企業で夢を語る重要性について、どのようにお考えでしょうか?

―本橋さん
なんか青臭いというか、なんか若造っぽいじゃないですか。会社の中で夢を語るって。でも、有志を集めて、12人の社員がドリームマネジメントのセッションに参加してもらいましたが、(本橋さんが)役員のくせに夢の話なんかするということを聞いて、おもしろいと思って参加した人もいるみたいです。だから50歳を過ぎても夢を持ってるんだぞ!と言いたいです。

働き方改革とか、生産性を高めるとか、AIを導入して効率的なオペレーションを行うとか、無駄なことがなくなっていくような気がしていて、それが本当に人間にとって豊かなことなのだろうか、と思います。
僕が入社したときは週休2日制じゃなかったから、土曜日は12時まで仕事をして、仕事が終わるとみんなで昼食を食べて帰る、みたいなパターンです。そのご飯を食べているときが、青臭い話をしたりとか、家族の話をしたりとかする時間で、そういうときこそプライベートな話ができるんです。今はそういう機会もなくなっていって、飲み会もないし、働き方改革みたいなものがあまりにもすすみすぎると、道徳やホームルームのような時間がなくなっていって、世知辛い会社になってしまうんじゃないかと思うんですね。だから、ドリームマネジメントのようなもの導入していったらいいのではないかと思います。けして、ドリームマネジメントだけがいいと言っているわけではなくて、そんな時間をつくることを自分たちで考えて、何かやるということが大事だと思います。

自分が信念と意志を持たないと、自分を変えられないじゃないですか。自分を変える力を養うことが、働き方改革の本質じゃないかなと思っています。会社は一生懸命従業員の働き方を変えようとしますが、それは会社が変えたいからです。会社が効率的になりたい、会社が次のステップに行って、ダイバシティーを踏まえた成長路線にもっていきたい、会社が変わりたいと思っていても、会社が変わる原動力は従業員が変わることだから。それが本質です。でも従業員がなかなか変わらない。今までと同じ事をやっているのが楽ちんだからなんですよね。今までの自分を否定して、自分を変える力、これこそがこれからの日本に一番大事なことだと思っています。そうでないと何から何まで全部制度に追われたり、会社に言われた通りにやるだけになったりするだけです。

結局は働き方改革法案みたいなものがでてきて、なんでそんなものが法律にならなきゃいけないんだ、と思うんです。なんでそんなことをいちいち国に言われなきゃいけないんだ、と。働き方改革の中で新しいルールができていって、ルールを作るためにやってんのかな、とおかしいよね。そんなものがなくても、一人ひとりが自分で変われる強さを身につけていかないと日本の企業は弱くなるかなと思います。

―佐々木
本橋さんがファシリテーターを務めたドリームマネジメントとその後の懇親会にも参加させて頂き、味の素さんの40代くらいの優秀な社員さんと色々と話す機会を頂きましたが、新卒で入社して、味の素さん一筋で頑張ってきた方が多くて、とても優秀な方ばかりでしたが、味の素さんだけの経験しかなくて、他に自分が何が出来るのか?今後、ずっと味の素さんで仕事をしていくのか?という不安を抱いていた方も多かったみたいです。
それが夢を語ることによって、こういうことをやりたいんだってことを新たに知ることが出来て、だいぶ前向きになれたってことをおっしゃっていました。これは当然、味の素さんの社員さんだけでなく、多くの人達が対象になってくると思うのですが。

―本橋さん
大学を出て味の素に入ってきて、長く仕事をしていると、自分の専門分野が出来てくるとだろうけど、会社がその分野の事業を今後やめますとなったら自分はどうなるんだろう、みたいな不安はあるのかもしれませんね。会社と心中しなきゃいけない、みたいな感覚ってあるかもしれません。それは僕にもありますけど、そのときに自分にどんな能力とかスキルがあるか、どんな分野で仕事をしたいのか、ということに向き合ってないといけないんじゃないかなと思います。

―佐々木
やりたいことができるという選択肢が増えるということは、自分の中で新たな可能性が見いだせることなので、そのような点でも、夢を出すということは大切なことだなと思いました。

 

 

“味の素を調味料世界一の会社にして沢山の人達に美味しい笑顔を届けたい。その後は手料理で目の前の人を笑顔にしたい”

―佐々木
最後に、本橋さんの夢を聞いてもいいですか?

―本橋さん
5年以内の夢で、味の素という会社を調味料世界一の会社にしたいと思っています。この夢の実現を目指しているうちに僕はリタイアすると思うので、まずはこの3年間くらいで、アジアで出来ることをリストアップして実現していきます。
(味の素の)社長はグローバルトップ10に入る食品会社になりたいって言っていて、そう考えると少なくても調味料のカテゴリーでは一位になりたい、そのためにはどれくらい新製品ださなきゃいけないとか、どのくらい新しいエリアに展開しなきゃいけないかとか、具体的にスケジュールを組んでやっていく必要があると思っています。出来ることだけやっているのでは多分一生実現できないので、出来ないこと、やったことのないことをやらなければいけないかなと思っています。

5年後になると、僕はリタイアして、会社の外にいることを想定したほうがいいので、この5年間はなるべくたくさんの人に美味しい笑顔を届けることだと思っています。リタイアしたあとは、なるべく少ない人に美味しい笑顔を届けたいと思っていて、自分が手料理を作ってあげる相手が美味しいと言ってくれることに満足できるような人生を送っていきたいなと思っています。こじんまりとした居酒屋をオープンして、残業とかで疲れている人のために手料理を振る舞いたいと思っています。終電で帰ってくる人のために飯作って待ってる、そんな店をやりたいのも夢ですね。

 

インタビュアー佐々木亮輔
長年、美容業界向けのIT事業に携わり上場企業の関連会社を2社設立し、取締役、代表取締役に就任。2014年「ドリームマネジメント」の日本初の認定ファシリテーターとなる。その後、一般財団法人日本アントレプレナー学会の理事に就任。ドリームマネジメント事業責任者となる。